アメリカ軍の攻撃によりISISの最高指導者バグダディ容疑者が自決
追い詰めたのはどの部隊なのか？
2019年10月28日、イスラム過激派組織であるISISの最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者がアメリカ軍の急襲を受け自決、死亡したことが世界中に報じられた。トランプ大統領が発表した内容によれば急襲作戦は26日午後5時頃に始まり、実行部隊を乗せた8機のヘリがバグダディ容疑者の隠れ家に向かったほか、作戦自体には多数の米軍の航空機や艦船などが関わっていたという。
こういったテロ組織への急襲の報道を聞くと、深く記憶に刻まれているのは2011年のアメリカ海軍特殊部隊SEALsによるウサマ・ビン・ラディン容疑者の殺害だろう。この件を機にSEAL Team6「DEVGRU」は大きな注目を受け、ニュースのみならず複数の映画化や多数のメディアによって取り上げられ、最強の特殊部隊として広く認識されるようになった。
こういった過去の経緯から、今回は一体どこの部隊が実行部隊となったのかが気になる方も多い事だろう。
バグダディ容疑者の急襲作戦については、複数のニュースメディアによってアメリカ陸軍の特殊部隊「デルタフォース」が主力であったことが報じられている。また、今回の作戦については第75レンジャー連隊も関わっているとの情報があり、JSOCが指揮し地上展開部隊はアメリカ陸軍がメインとなっていた可能性が高い。作戦名はケイラ・ミューラー作戦と名付けられ、バグダディ容疑者らISISによって拘束・殺害されたアメリカ人女性援助活動家の名が由来となっている。
アメリカによって超高額な懸賞金が掛けられていたバグダディ容疑者の潜伏先の情報は、イラク情報局のISISメンバーへの尋問によって複数の候補がもたらされていたようだ。バグダディ容疑者に近いテロリストにより、かなり確かな情報を掴んだアメリカ軍が今回作戦を決断するに至ったとみられる。
バグダディ容疑者の潜伏する建物に到着した急襲部隊は、トラップを警戒して正面玄関ではなく壁を破って侵入。銃撃戦も発生し約10名のISIS戦闘員を殺害。その後、追い詰められたバグダディ容疑者は着用していた自爆ベストを起爆させ死亡したという。この戦闘によるアメリカ軍側の死者は出ていないそうだ。
トランプ大統領は、バグダディ容疑者の死亡をアメリカ軍のシリア撤退の大義名分とする考えのようで、今後撤退の動きが加速するのではと懸念されている。しかし、最近のトルコによるシリア侵攻を機に逃亡するISISの囚人が多く、バグダディ容疑者が死亡してもISISが壊滅したわけではないとして警鐘を鳴らす意見もあるようだ。
今回活躍した「デルタフォース」は特殊部隊の中でもかなり秘匿性の高い部隊であり、いまだ謎の部分が多い舞台でもある。しかし、今回の活躍を機にDEVGRUのように注目されるのは必至だろう。今後、映画や数々のメディアによって題材として取り上げられるのは間違いないだろう。